ケーソンとは、鉄筋コンクリートで作った大きな箱のことで、波を防ぐ防波堤や船を停泊させるための岸壁として使用しています。
ケーソン岸壁・防波堤築造技術の概要
ケーソン岸壁・防波堤築造は一般的に、基礎工、本体工、被覆・根固(ねがため)工、上部工の順で施工されます。
近年は施工技術やICT技術の進歩により、様々な技術を使用して効率的に、精度よく、安全に築造できるようになりました。
-
基礎工
ガット船で搬入した石材を施工位置に投入し、潜水士により不陸を整え平らにします。
当社技術:水中バックホウやジャイアントタンパー工法により、今まで潜水士が人力で捨石を移動させていた作業が機械的に施工可能となりました。(潜水深度管理システム) -
本体工
作成したケーソンを海上に浮上させ運搬し、起重機船等で基礎捨石上に着底させる作業です。
当社技術:ケーソンの据付姿勢を自動制御する施工支援システム(ケーソン自動注水システム)が活躍しています。 -
被覆・根固工
被覆・根固ブロックを基礎捨石の上に重ねて配置します。
土台となっている基礎捨石が激しい波の勢いにより削り取られたり、流出してしまうのを防止する役割があります。
当社技術:ブロックを据付けるためのクレーンに、据付けを支援するシステム(ブロック据付け支援システム)を取り入れることで、効率よく施工することが可能です。 -
上部工
ケーソンについて
ケーソンとは、フランス語で「大きな箱」という意味です。鉄筋コンクリートで作った箱のことで、波を防ぐ防波堤や船を止めるための岸壁として使用しています。
ちなみにケーソンの数え方は函(かん)で、この函という字は訓読みで「はこ」と読みます。
港湾施設において、ケーソンは防波堤、岸壁、橋の基礎など幅広く使用されています。防波堤に使用するケーソンは約500t~10,000tと幅があり、波浪が厳しいところほど大型になる傾向があります。
陸上(ケーソヤード)やフローティングドックという専用の台船上でケーソンは作成されます。
作成されたケーソンは、いくつもの升目で仕切られた空っぽの箱の状態ですので、海上へ浮かべる事ができ、船で設置場所へ運び沈めて据え付けます。
施工フロー
1.基礎工(基礎捨石投入・捨石均し)
施工場所にケーソンを据え付けられるように、基礎工を行います。
ガット船で搬入した石材を施工位置に投入し、潜水士により不陸を整え平らにします。
2.本体工(ケーソン曳航、据付、中詰投入、蓋コンクリート打設)
港内に仮置きしているケーソンを浮かせ引船で施工位置まで運搬し、沈めて据付けます。
3.被覆・根固工(根固ブロック・被覆ブロック据付、被覆石投入・均し)
4.上部工(型枠組立、鉄筋組立、コンクリート打設)
設置したケーソン上部に型枠を組み立て、コンクリートをミキサー船で打設します。
ケーソン岸壁・防波堤築造で使用した自社技術
ケーソン自動注水制御システム
ケーソンマス内の水位を自動計測し、注水ポンプを自動制御することでケーソン姿勢を制御するシステムです。
水中バックホウ・ビッグクラブ
潜水士が人力で行ってきた水中での均し作業を機械化した技術です。
ジャイアントタンパー工法
SCP船のケーシング先端に鋼製タンパーを取り付け、バイブロハンマーの振動で捨石マウンドを均一に締め固める工法です。
潜水深度管理システム
潜水士の潜水深度と経過時間・浮上方法をリアルタイムに監視するシステムで、潜水深度管理システムにより潜水士の安全管理と業務支援を行います。
ブロック据付け支援システム
クレーンブーム及び船体にGPSを搭載し据付目標位置・目標転船位置と現在位置をリアルタイムにオペレータに提供するシステムです。
施工実績
境港外港中野地区岸壁(-12m) 築造工事(その2)
鳥取県 境港市
秋田港外港地区防波堤(第二南)築造工事
秋田県 秋田市