特許番号 第6267672号
工法の概要
水底土砂ポンプ浚渫工法は、「ため池等」の放射性セシウムを多く含む、水底の表層部に堆積した土砂を薄層で回収する工法です。水中ロッドを用いて閉塞された領域内でポンプ浚渫行うので周辺に濁りを発生させない利点を有しています。 本工法は、「ため池の放射性物質対策技術マニュアル(農林水産省)」に示される底質除去(ポンプ浚渫)原位置分級工法です。
使用機材
浚渫船
- 組立式台船
- 遠隔操作ウインチ装備×4基
- ポンプ浚渫設備(水中ロッド)
- 3t油圧リフト装置
- 各種センサー
- 遠隔施工管理室
陸上プラント
- 濁水処理設備(組立式 60m³/h)
- 脱水処理設備(自然脱水併用加圧(5.1tf)脱水)
施工手順
- 台船を所定の位置に誘導したのち、水中ロッドをロッド内の水を排水しながら水底に貫入・根入れさせる。
- ウォータージェットにより所定の施工層厚の土粒子をケーシング内に浮遊させる。
- ミキサーによりケーシング内に循環対流を生じさせ、浮遊させた土粒子を撹拌する。
- 振動ふるいを通過する泥水は、排水ポンプにより陸上に回収する。
- 水中ロッド内の泥水が所定の濁度以下となったら、ウォータージェットと撹拌を停止する。
- ふるいを通過しなかった粗粒分は水中ロッド内で水底に沈降・残置する。
- 排水を継続したまま、水中ロッドを引き抜き移動する。
上記を繰り返すことで浚渫施工を行います。浚渫した泥水は陸上に配置したプラントで濁水処理(凝集沈殿処理)、脱水処理を実施します。
工法の特徴
- 本工法は、水底部に貫入する装置内部の閉鎖された領域のみを浚渫するため、表層部の確実な除去ができるとともに施工中の濁りが発生しないことを特徴とします。
- 組立式小型フロート(4.0m×4.0m)を使用することで、さまざまな条件のため池で使用可能です。 (水深条件 0.3m~5.0m)
- 水上設備は専用施工管理装置により、陸上から遠隔操作および施工管理を行い施工層厚、施工位置等はcm 単位で制御可能です。
- 装置内に振動ふるいを装備しており、レキゴミ等を陸上部に回収する必要がありません。
- 事前事後の水底面の放射線量をリアルタイムに計測することで施工品質(放射性物質の確実な除去)を確保します。
- 施工に用いる資機材(浚渫設備、濁水処理設備、脱水処理設備)は、すべて2t以内の機材で構成しており小型ため池堤体上への搬入配置が容易です。
- 施工機材の大型化・小型化への対応が容易であるため、ため池以外の浚渫にも適用可能です。
施工管理システム
専用施工管理装置により、陸上から施工管理を行います。施工層厚、施工位置等の管理は1cm単位で正確に制御することが可能です。また、事前事後の水底面の放射線量をリアルタイムに計測することで放射性物質の確実な除去が可能となります。
実証事業に参画
- 平成25年度 除染技術実証事業(環境省)採択技術
- 平成26年度 ため池等汚染拡散防止対策実証事業(福島県)採択技術
- 現在、浚渫船3隻所有。福島県内のため池にて施工中。
国土技術開発賞「入賞」を受賞
第22回国土技術開発賞にて、あおみ建設株式会社の開発した「水底土砂の放射性物質を原位置分級し浚渫する工法」が「入賞」に選ばれ、選考委員会委員長表彰を受賞致しました。